4月26日(月)小田原・箱根湯本・江之浦 物見遊山

きのうは、小田原、箱根湯元、江之浦に行った。箱根湯本で、斎藤義重展・斎藤泉展が箱根菜の花展示室であり、それを見に行くのに、せっかくだから、杉本博司の江之浦測候所も回ることにして、なお、行きの電車の時間でどこか行けそうなので、小田原城の藤棚にした。

調べておいた時間よりも早く、9:06に小田原駅についた。9:30に大提灯の下でT氏と待ち合わせる。朝食を食べてきたけど、一昨日検索していた箱根そばが気になっており、小腹も空いてきているような気になってきて、JR改札を出て小田急線の改札横の箱根そばに入った。かけそば。麺もおつゆもおいしかった。9時25分ころ大提灯下に戻ると、すでにT氏は立っていた。

 駅を出て、小田原城へ。何度も来たことがあるというT氏だが、藤見は初めてということだ。H氏の使う近道じゃない方の入り口から入る。掘近くの「御感の藤」を見る。よく見ると花が落ちて枝付き乾燥レーズンみたいなのとか、花びらが何枚か落ちて花房全体が細っていたのもあったが、まだまだ八分くらいは花びらがついていて、藤棚~て感じで、ふさふさ藤がさがっていてよかった。しばらく見ていて、H氏が言った「行きましょうか」「そうですね。来た、見た、行った」
ときどき、ほら貝の音が聞こえていた。城の本丸へ移動していると、後ろから、兜をかぶり甲冑を付けた十人くらいの団体が、スーツに青の法被を着た係の人みたいな人とともにやってくるのにかち合った。甲冑の一人がほら貝を、歩く合い間に吹いていた。テレビ時代劇で聞くのと同じ音だった。どのように吹いているのか、兜のひさし下の顔に目を向けると、白いあごひげを蓄えていた。甲冑を身に着けた皆さんは、中高年の男性たちだった。天守閣の方から近道の北の口に抜けて、小田原駅に戻る。

駅でぶらぶらして、伊達巻きのついた耳かきを買う。

10:26小田原発 箱根登山電車。10:46箱根湯本駅着。あじさい橋を渡って、少し坂道を上るように歩いて10分。箱根菜の花展示室に着く。途中で、色の違う3両、朱色・空色・緑色、の電車が小田原方面に行くのが見えた。写真は撮れなかった。

展示室は、斎藤義重展、併設で斎藤泉展。入場料500円。斎藤泉さんがいた。斎藤義重展の会場は悪くなかった。現代美術作品を置いても、邪魔しないかんじ。ただ、義重作品のインスタレーションのダイナミズムはない。逆に、天井が低くても、誰かが設置して、こう見えるということがわかった。ダイナミズムがないことで、作品の元のすごさを思うか、こんなふうでも展示できると思うのか。義重さんが亡くなって20年。人の目に触れてもらうためには、後者かもしれない。亡くなった後、割とすぐに、美術館で巡回展があった。学芸員が設計図通りに展示したと思うのだけど、全然ダイナミズムがなくてびっくりした。義重さん自身の設置とこんなに違うものかと思った。義重さんが何センチか動かすだけで、全然違う、空間が変わる、と義重さんのセッティングに同行した人に聞いてもいた。インスタレーション作品の設置の難しさだ。
斎藤泉さんの作品は、立体より絵画が好きだ。長い時間問い続けてきた成果がある。泉さんと少しお話して、義重作品の管理について伺った。

箱根湯本駅に戻って、駅前の土産もの屋をさっと見る。
11:56箱根湯本発。12:16小田原駅着。
ラスカの魚料理屋で、昼食をとる。鯵フライ定食。揚げたてでおいしい。お土産に、菜の花のお菓子を買う。

13:28小田原発 東海道線 熱海行き。13:36根府川駅着。無人駅。一つしかない改札口からすぐのところに、無料バスが停まっていた。ホームページにバスの乗り場の記載がなかったので、どうかなと思っていたけど、狭い駅前ですぐわかった。バスは、入場券をネットで買うときに、無料バスの券を選択して時間も指定することになっている。根府川駅発13:40のバスで7分、「江之浦測候所」に着く。
江之浦測候所は、写真家で古物収集家で建築設計もものするという杉本博司が一山をデザインしたところだ。門、石、木、建物にはみな由緒がある。海に広がる山に由緒を配置して、ミカン畑と竹林の活用もしている。海を借景に風景を作った。神社の社がたくさんあった。移築したり部分を集めって再構成したり。それがまた、海の青と木々の緑と石と朱の鳥居なんかで、実に見栄えがいい。由緒は神様関係が最強だと思った。由緒を知らなくても、寄せ集めでも、自然の中でそこに集中という感じを醸し出している。
私は、パンフに書かれたいちいちの由緒を読まなかった。見たものを見たまま感じたかった。見るためにはある程度の知識はいるが、知識を超えてなお自分との関係でものを見たい。美術の見方だろう。
山の木々や草は放っておくと勝手に生え広がる。それを止め人の作為を与えるのは石だ。何代にもわたって繰り返される植物の生長と石の時間は釣り合う。山のなかで石を敷き詰めてあるのを見て、そんなんことを思った。もちろん石を置いただけじゃなくて、林や藤棚や斜面は人の手でよく管理されている。
黄金柑とレモンが「化石窟」という小屋で無人販売されていて、黄金柑を買った。見学していくうち、キザなのがだんだん気に障ってきて、いやになった。(あ、キザって、気障だ。同語反復だ。ーー気取ってるのがだんだん気に障ってきて、いやになった。)雷が数回鳴り、雨が降ってきた。屋内で飲食するところもないし、帰りのバスを16:00発と予定していたのだが、15:15にした。榊の森というところから速足でロッカーのある建物に戻る。一回りしたし、トイレにも行かずに、乗り込む。
「見た、来た、買った、じゃないけど、見た、来た、帰った、ね」T氏が言った。
15:23根府川駅着。15:40根府川発 東海道本線。15:48小田原着。コーヒーショップで腰を下ろし豆乳ラテで一休みした。16:27小田原発 東海道本線で帰った。

家で、黄金柑を夫にも出して、食べた。甘い。オレンジのように皮が柔らかくて、スライスしたけど皮ごと口に入れた。