11月30日(火)父との面会

きのうは、朝はやく出る気もなく、朝の家事を一通りして、キングジムポメラの検索なんかしてたら、9時半ころ家を出ることになった。学生のときよく利用した駅で、地下鉄から東急線へ乗り換えをしたんだけど、よく見ずに地上に上がったら思っていた景色じゃない。出口を間違えていた。というか、ふたつ出口があったの忘れていた。で、遠回りになって、予定時間の電車に乗れなかった。途中、早歩きで商店街入り口の写真を撮って、ラインの同級生グループに載せてみた。あとで、Mちゃんから、「なつかしい風景、と言いたいところだけど、思い出せないよー」と反応があった。南町田グランベリーパークに着く。お店を二軒のぞいて、シャツを買う。そこから1時間くらいかけて、父が入っている老人ホームの最寄り駅に着く。面会時間は3時から15分間。

車椅子で面会スペースに運ばれてきた父は最初、私が誰だか分からなかった。耳が遠い。私のしゃべる言葉が、「何を言っているのかわからない」と首を上下させながら言う。妹の名前を出したら、先月来たんだな、とわかって、私の名前を口にした。こちらから「元気ですか」「体の調子はどうですか」とゆっくり何度か言っても「何を言っているのかよくわからない」

「じゃあ俺の言いたいことは二つある。うんちがなかなか出なくて、出るとき痛い」「それはたいへんだね」というようなことをゆっくり何度も言っても「何を言っているのかよくわからない」そして、「それと、田島族の集まりをひきうけてくれたんだったな。ありがとう」と言い出した。今回は、「民」じゃなくて「族」になっていた。やったー面白い、妹に伝えなくっちゃとひそかに思う。
みんなに連絡して、12月はみんな忙しいから、1月か2月か、もちろん私と妹の都合のいいときに集まってもらいたい、というようなことを言い出した。え、場所はここ?と聞くと、いやそれはできないな。どこか、おれの実家の方は遠いから、どこかでな。と割とわかっているようなまともなことも言っている。うん、車いすで行くの。歩けないからな、どうするか、それが問題だ。立てることは立てるんでしょ。車いすを車に乗せて行こうか。私は、車いすの母を介護タクシーに乗せて病院に行ったことを思い出した。父が自分の足で立てるなら、車いすに乗せることは慣れてない私でもできそうだと思った。もしかして、一回くらい外で食事もできるかもしれないと、思ったのだ。
でも父は、そううまくいけばいいんだが。と言った。そこは自信がないんだ。客観視できている。じゃあ、リハビリ頑張って。いま、コロナっていう病気が流行っているから、それが無くなって、少し歩けるようになったらね。私は言った。
父の努力目標に転嫁して、父の夢を引き延ばした。残酷だったろうか。父の夢の否定はしない。できれば添いたいと思っている。でも、なあ。そして、こんなことどうかと思うけど、書いていて気が付いてしまった。父の親戚関係が今度、集まるとしたら、父の。

施設の人に、父の体が少しむくんでいることと、呼吸が少し苦しそうだということを聞いた。お医者さんの往診で診てもらいます。でも92歳ですからね、と、ある程度不調なのはしょうがないと同意を求めるような笑顔だった。それはそうだ。

帰り、乗り換え駅を出て、午後4時近く。お昼が軽かったのでお腹が空いていた。魚料理が食べたかったけど、そういうお店は見つからず、代わりにいい感じのパン屋を見つけて、チーズベーグルと海老かつサンドとアールグレイティーを飲食した。