11月21日(月)鎌倉散策と葉山「マン・レイと女性たち」展

きのうは、鎌倉駅に9時半ころ着く。

鎌倉市農協連即売所(レンバイ)に行く。いろいろな色のニンジンやいろいろな大根など珍しい野菜もあった。ほかにもいろいろな種類の野菜が並べられていて、もちろん新鮮だろう。花もあった。エコバッグを下げた人が買い物していた。隣の鎌倉中央食品市場も見る。こちらは開店している店が少なかった。10時前だからそうだろう。

二の鳥居まで若宮大路を上り、右折する。教会隣に素敵な店構えのパン屋があって、入ってみる。変わり種あんパンをひとつ買って、前庭?テラスの椅子テーブルで食べる。すごいおいしい。10時ころだ。

横道はすぐ小町大路にあたり、小町大路を上り脇に入って東勝寺橋を見る。大正時代にできたコンクリートの美しいアーチ橋、と立札に書いてあった。川に下る階段を下りて、下からアーチの写真を撮る。階段を上がって、橋のそばの石碑を読むと、青砥藤綱の故事の舞台だと書いてある。これ滑川だもんな、ここかあ、と改めて川を見る。水量が少なくて川幅も細い。川底は50センチくらいだろうか。こんなふうならお金を拾えそうだ。

北条氏ゆかりの宝戒寺に行く。小町大路を上って旭屋本店の前にある「くずバー」自動販売機に驚く。道なりにゆるくカーブして、岐れ路信号手前、ソーセージ屋の角を左折してドイツパンの店おいしそう。ちょっと歩いて大蔵幕府跡の石碑を見る。続いて上り、頼朝の墓を見る。地元の方とおぼしい男性が、たぶん落ち葉掃きかなんかで来ているかんじだったのだが、これはお墓だから、一礼して手を合わせるんですよ、神様は二礼二拍一礼ですけどと、家族連れに教えていた。この上に3つお墓があり、いったん降りて左に歩いて登って大江広元、降りてまた登り島津忠久のお墓ですとも言った。ははあ、なるほど、と周りにいた5人くらいが聞いていた。その言の通り、いったん降りて、2軒分くらい歩いてから登り、途中広いところがあって北条義時のお墓がある。左の階段を上ると「やぐら」が二つ並んでいる。「やぐら」とは中世の横穴式墳墓だ。大江広元のやぐらは右で、左は毛利季光のやぐらだ。ともに幅2メートルくらいの横穴に墓石が置いてある。また階段を少し下り右の階段を上ると島津忠久のやぐらだ。三つのやぐらは同じ高さにある。

降りてきて11時。住宅地を西に行って、鶴岡八幡宮の東の方から境内に入る。

入り口に鳥居がある。ジョギングの男性が、速度はそのままで帽子を脱いで鳥居にうなずくように軽く一礼して通りすぎた。境内に、国宝館から続いて白髭神社がる。その鳥居に向かって、前を歩いていた男性が、帽子を脱いで深く一礼して、すぐ歩き出した。へえと思った。ジョギングの男性は地元の人だろう。前を歩いている男性は黒のズボン黒のジャケット黒のザックで、地元の人かどうかはわからない。私は一礼せずに通り過ぎた。

今までそれほど人とすれ違わなかったが、さすがに境内に入ると人が三々五々歩いている。混んではいない。七五三の着物を着た女の子や男の子がときどき見かけられた。着物姿の若い女性も数人いた。午後から雨の予報だ。空は曇でやや暗い。

大階段途中の例のイチョウの木の写真を撮る。木の高さは5メートルくらいだろうか。周囲を紙垂を付けた縄で四角く囲われていた。階段を上って大きな門をくぐり、お参りする。下りてきて、境内真ん中の一段高い建物で神前結婚式を挙げている人たちもいた。八幡宮に向かって神官が立ち、新郎新婦が次に立ち、左右に親族が座る。次に、鶴岡ミュージアムを外から見た。旧神奈川近美の後にできた建物で、私は初めてだった。「鎌倉殿の13人大河ドラマ館」となっていた。大きいカフェテリアの建物が対にある。

三の鳥居まで来て11時40分過ぎ。小町通りを駅まで行く。ソーセージとお団子と饅頭のようなのがそこかしこで売られていて、店先で立食いの人も結構いる。道行く人も多い。行動制限が無いという見本だ。雨が降りそうでも日曜日の小町通は混むのね。肉を焼く匂いで食欲が刺激される。
鎌倉駅まで来て12時まえ。まだ時間がある。もう一度レンバイに行く。ぽつりぽつり雨が降り出した。傘はささない。レンバイの中のお客は二三人でさっきよりかなり少ない。隣接建物の店舗nuinui1stを外から見て、展示されているシャツなどが思ったとおり素敵で、中に入る。それぞれお高そうだけど、小物が買えないかなと思った。ティーコゼーや鍋掴みなどの値段が記された紙があってティーコゼーの実物がない。店主らしい女性に訊いてみたら、布がなくて一個しかなくて、と言いながら後ろの棚からひょいと取って目の前に置いた。赤くて下が白い縁取りで、サンタの帽子のよう。見るなり「これいただきます」。来年のカレンダーをもらった。

鎌倉駅に戻って、電車に乗り、12時29分に逗子駅に着く。駅出て右のスタバに居ます、とメールを受信していて、行って、Tさんと落ち合う。久しぶりだ。
商店街を歩き、そば屋に入る。温かい豚南ばん蕎麦を食べる。煮豚が載っている。すごくおいしい。Tさんはもみ海苔が一面に載っている花巻き蕎麦を食べた。

逗子駅から13:36発のバスに乗って、神奈川近代美術館葉山館に13:50ころ着く。「マン・レイと女性たち」展。M君から招待はがきをもらっていた。感謝。女性を写した写真が主の展示だ。

マン・レイが女性たちとのあいだに保っていた特別な関係――恋愛関係、芸術的・知的な関係、交友関係などに強調を置いています」展覧会監修者マリオン・メイエのメッセージより

モンパルナスの女神キキ、弟子志願からパートナーになり彼と別れてから写真家となったリー・ミラー、明るさが彼を助け彼の死後作品を守った女性。それぞれ美しい。インスピレーションを沸かせる女神としての女性たちと、大志を持ち芸術家としての自立を目指す女性たちの才能に、マン・レイはずいぶん助けられたのだろう。マン・レイの名が大きく残る。20世紀の初頭は女性の自己像のために手本になるべき先達も出てくる時代だったろうか。

マン・レイは女性の新しい美しさを捉えたとある。確かにそうだ。でも、どこが。新しい形式で、物として女性のフォルムを捉えたということだろうか。微妙に嫌な感じがした。たとえば、男性が自身の腕に顔をうずめて眠っている写真があったらどうだろう。目が8ツある顔写真が男性だったらどうだろう。私は、人を物に見立てるのがいやなのか、女性を物に見立てるのが嫌なのか。人の上にもう一枚、女性という要素がかぶさるからこその効果はある。

観終わって入り口に戻ると、外は雨が本降りだった。ショップに15時半ころ入る。女性の写真があしらわれたTシャツやエコバッグがあった。エコバッグは軽くてかなりきれいなプリントだ。女性の絵柄のは持つ気になれないが、他のロゴがあしらわれたエコバッグがいいなと思った。迷ってカメラ型の鉛筆削りにする。レストランに入り、ストロベリーチーズサンデーを食べる。Tさんはケーキセット、ケーキはアップルパイ。

美術館とレストランの建物は海の上の高台にある。テーブルは店内の海側の端にあり、ガラスの向こうの外テラス、その先は落ち込んでいて、広い海が見える。海は鈍色。空も灰色。テラスのウッドデッキとウッドテーブルとイスと、静かな海と空がすべて灰色の階調で、きれいだった。雨の景色も良いのものだとTさんとうなずき合った。食べ終わるころ、海はグレーに茶色が混ざった色になった。空の色を映すというけど、海水が海底の砂を撹拌したのかしら、と言いあった。もしかして、雨だけど夕日の効果だったかもしれない。よくわからない。

暗くなってきた。美術館前のバス停「三ヶ丘・神奈川県立美術館前」16時31分のバスで「逗子・葉山駅」バス停で降り、京急で帰る。