10月21日(木)個展と本屋へ行く

きのうは、午後、銀座中央ギャラリー。藤井さんの個展。画廊は、岡野ビルという古いビルの一室にある。エレベーターの扉を手動で開け閉めする。絵の感想を話したあと、藤井さんが、息子さんがサラリーマンを辞めてマジシャンになった話を伺う。マジックを酒場で披露して、心づけを得る。それで生活できているのだそうだ。都のヘブンアーティストにも登録していて、宣言解除でやっと、公園などで催せるようになったそうだ。藤井さん自身も、安定した職業についていたが若いころに辞めて、人生の大半を画家で生きてきた。以前、妻と子と猫を連れて、パリに移住した話も伺ったこともある。住んでいた家を売って海を渡った。

好きなことで食べていけるなんてすごい。息子さん立派ですね。と言うと、僕も立派だと思う、と藤井さん。本気でやればやっていける。

藤井さんの経験に裏打ちされた「本気」が心に響いた。

そのあと、歩いて、八重洲ブックセンターに行く。ヨーロッパの地理歴史のコーナーをうろうろした。結局、ゼ―バルト『カンポ・サント』を買った。

また歩いて、日本橋のSPCギャラリーに行く。中川さんの個展。残念ながら中川さんはいなかった。幾何学模様を描いたべニア板で床全面を埋め、壁に階段と人形が付いている。べニア板は土足で踏んでいい。人形は木製で奈良の遺物のような趣で、いい感じだ。中川さんがいれば、制作意図を詳しく解説してくれただろう。構築物に入る人形、と同時に、観者も人形の視点をもって構築物にいる、という感じがした。