3月24日(木)鴨川紀行

きのうは、朝、T夫と車で家を出て、出荷でJAに寄ったのだが、木更津のアウトレットに行く。お目当てのアークテリクスとグレゴリーに入る。マリメッコにも立ち寄り、フードコートでうどんの昼食をとる。ラーメン屋に行列ができていた。
13時前に出発して、鋸山ロープウエイ駐車場に着く。13時40分発のロープウエイに乗る。 5分くらいで山頂駅に着く。山頂駅に資料館と称した写真や石切りの道具や石が展示してあった。岩をよくまあ真直ぐ垂直に切り取ったものだ。つるはしのような道具で切り出した。柔らかい岩だ。凝灰岩。ぎょうかい岩って、聞いていたけど、漢字を見て灰が固まったのだと、やっと知る。
鋸山の岩場には、何度か連れて行ってもらったことがある。中間支点のハンガーはない。危ないからトップロープのみの利用と決まっている。ルートはクラックが主で、ほとんど登れなかった。ビレイしていると、上から砂が降ってくる。登る人が壁を触ると、削れて細かい砂が落ちてくる。帰るころ、顔に付いている砂をふるった。
食堂もあり、そこで売っている「地獄アイス」のポスターがあった。竹炭で黒くしたバニラ味、黒々として表面が溶岩のようにぼつぼつで上に向かって巻かれている形状だ。パンチがある。こういうの好きだ。
百尺観音を見て、地獄のぞきのほうへ上る。地獄のぞきとは、断崖の上に2メートルくらい岩が突き出た形になっているところがあり、そこから下を見ることだ。T夫はこれがしたかった。
前に来たときは、観光客が多くて、順番の列が長かった。かなりの時間並びそうだったのでやめたのだ。さっきの百尺観音のところには幼稚園くらいの子供のいる家族連れだけがいて、あとから高校生らしい男性の5人くらいのグループが来ていた。地獄のぞきには、ひと組の年を重ねた夫婦しかいなかった。手すりはあるし、頂上の続きのようになっていて、中空に突き出た感じはない。西は海、東京湾の一番細くなっている三浦水道で、対岸の三浦半島が近くに見る。手前は金谷港だ。北から東は房総の緑の山並みが見える。南は房総半島の海岸部の先のほうだ。真下は百尺観音の広場で、山並みを背景に切り立つ岩肌を見ると高度感がある。高度感のある岩場に行っていないので久しぶりだ。
この日本寺エリアには他に五百羅漢や石大仏などがあるが、ロープウエイ山麓駅に戻る。
14:45頂上駅発で、下に降りる。房総半島を横切る。T夫の車のナビが古くて、新しい道を知らない。でもスマホのグーグル先生に頼ることなく、ちいさな商店街の道とか民家の近くを通る山間の道とか昔から通行のあったと思われる風景をながめる。鴨川のホテルに17時前に着く。
分不相応の広い部屋だった。コロナで旅行ができなかったから、とT夫が張りこんだ。オーシャンビューの洋間と続きの和室とベッドルームと控えの間と内風呂と簡単な水場がある。角部屋で洋間の二面と和室にガラス窓が続いていて、広く景色が見える。マッサージチェアもあった。ロビーでウエルカムドリンクと茶菓子が供されたけど、部屋にもフルーツ盛り合わせと茶菓子があった。廊下に飲み物コーナーがあって、ジュースやコーヒー紅茶が自由に飲める。カフェインレスコーヒーを淹れた。
ひと休みしてお風呂に行って浴衣に着替えたら、気持ちがホテルの宿泊客になった。

場所は豪華でも、年を重ねた夫婦である私たちは、話すことはあまりない。明るいうちは、サーフィンしているひとのだいたいの数を数えたり、あそこばかりいるねえ、ほかはいい波がこないのかないねえ、とか言ったりしたけど、夜になると、海は真暗だ。おおきな病院あたりに街の灯がいくつかまとまってあって、きれいはきれいだ。あの病院は有名人がくるんだ、へえー、と何度目かの定番のやり取りをした。

夕食は部屋食だ。これはおいしい、甘い、と、内向きになり自分の感じに気を向けて、料理を味わうことにせいを出した。料理を運ぶ男性が来て、いかがですか、何かのお祝いでいらしたのですか、もうおさげしてもよろしいですか、と聞いたり、彼が料理の説明をするとき、ちょっと華やいで私たちは夫婦ものという感じが出るのが、おもしろいっちゃ、おもしろい。量が多くはないかと思っていたが、最後まで食べることができた。
そのあと洋間の大画面のテレビに旅行番組を流して、交代でマッサージチェアに座り、T夫のカラダの痛いところの話を聞き、クライミングでの痛みの対処を話したあと、先にT夫が休んだ。
決してつまらなくはない。行きたいところに行って、いいホテルでいい気分だ。役割を少な目にするとこういう風なのかもしれない。