7月5日(日)「失われた時を求めて14」読了

 きのうは「失われた時を求めて14」読了。主観的な記述から、ほぼ自伝的な小説と思っていた。そうじゃない、自身の経験やを材料とするけど、虚構によって練り上げられた作品だった。
 37才の時から書き始め、47才で清書原稿を書き上げ、修正加筆改稿作業をし、4篇までは完成。5篇の手入れ中に51才で死去。5,6,7篇は死後刊行、出版完結。
 「私」は記憶力の衰えを自覚するようになり、足がふらつき階段を踏み外しそうになったり、死を意識しだしり、などと作者は47才(少なくとも51才)よりも前に書いていた。

 人間観察の鋭さとともに、目に見えているものが何を想起させ過去にもそれと同じ感情がわきおこったとか、目に見えるものををみて、その印象つまり目に見えないことや気持ちを言葉で定着させる。なるほど表徴とはこういうことなのかもしれない、と思った。