11月01日(月)老いのとばくちーー高校時代の友人の墓参に行く 

きのうは、高校時代の部活の友人の墓参に行った。命日は8月だ。毎年8月の命日近くに部活の5人で集まって墓参するのだが、今年はコロナの5波で緊急事態宣言が出ていて延期していた。宣言解除でもういいよねと、スケジュールをすり合わせて、きのうになった。私は最寄りの駅に行き、Rの車にピックアップしてもらう。すでにAも乗っていて、3人で墓地に向かう。あとの2人、SとYはそれぞれ自分の車で来ることになっていて、先に着いていた。Sはげっそり痩せていた。
花瓶を洗いに行ったり、軽く落ち葉をまとめてゴミ袋に入れたりしていた。ちょっとぉ、RとAがSの背中を触った。この背中の骨、肉がないじゃない。足も細くなったね。Rが言う。もともとSは痩せていた。やつれたの、S本人は言った。
Yが、別宅ができたの、別宅から車で来たのよ、とにこやかに言ってるのが私の耳に入った。誰かが、今日はどこから来たの、と聞いたらしい。すごく興味あるけど、あとでみんなで聞きましょう、私がYの方に言った。そうだね、二度も三度も言うこともないから、あとでね。Rが続いた。お花と線香を手向ける。移動して、イタリアンレストランでランチを取った。
RとSは正規で働いていた。Rが第二の職場に再雇用されたのは、ライングループで知っていた。Sは同じ会社でフリーになった。仕事が立て込んで、食事をとる時間がなかったの、と言った。信じられない、私はどんなに忙しくても食べる、逆に太るタイプ、と私。足が細くなったね、やっぱ筋肉が落ちるんだね、とRが言う。
両親と同居のAはデイサービスに行きたがらない御母様に触れ、介護の資格を取ろうと思うんだよね、と言う。Aはリンパマッサージが施術できて、以前YとAと一緒に旅行に行ったとき、やってもらったことがある。足を悪くしているYは、また一回3000円くらいでやってもらった方がいいんだけど、と言う。いいよ、お金なんか。いや、私らは初回限定で只だったけど、次は払うよ。そうだ、やってもらいなよ。Yはリンパの固まったのがあって、なかなか流れないんだよね、とAが言う。
Yは、友人がシェアハウスを経営していて、そこを借りているの、ほらこういうの、と写真が全面に載っているA6くらいのパンフレットをテーブルに出した。一人読んだら、回してもらう。コロナで、共有のキッチンなどを消毒するバイトの人が週3日しか来られない。その間を埋める週4日を担うことになった。そして、管理人用の部屋を借りたそうだ。給料と相殺して足りない分を払う。Yは家でできる仕事を持っていて、電話とパソコンを入れたカートをごろごろ引いて、家と別宅を行き来していると言う。
シェアハウスは女性専用だ。家賃からして、高級な部類だということだ。オーナーは最初、女子学生を対象にしてシェアハウスを始めたのだが、今は、ひとり身で仕事を持つ女性が住人で、年齢はばらばらだ。都心で便利だし、キッチン用品など持たなくていい。マンションを借りるより生活するのに楽だと思ったんじゃない、とYは話した。なるほど。シェアハウスに住むかどうかは人によるけど、女性が仕事を持ち一人で生きるのが基本だからね。

私たちは、親が二人とも存命だったり、ひとりだったり、いなかったり。親の介護の真っ最中だったり、し終わったり、老人ホームにいたり。子供や孫がいたり、いなかったり。みんな結婚しているが、家庭の条件はいろいろだ。仕事のかかわり方もいろいろ。家事労働、賃金を得る労働、雇用の正規・非正規。
みんなの話を聞くと、へえ、と思う。老いのとばくちにいるのだ。お取り寄せしておいしいものを食べる、かごバックを編む、旅行に行く、チアリ―ディング、ゴルフ。趣味や好きなことがあるとして、それは生活のどれくらいの比重なんだろう。