7月30日(日)内蔵助山荘、別山南峰、別山北峰、劔御前小屋、雷鳥平、みくりが池、室堂

一昨日は、8時ごろ皆で就寝したが、私は眠れない。横になっていれば体は休めるはずと思って、ヨーガのしかばねのポーズ(シャヴァア―サナ)のままでいる。
あおむけで掌を下向きにして両腕を真直ぐ体に沿わせ、次にぱたんと外がわに倒す。掌は上を向いている。胴と腕の間に、腕一本分の隙間がある状態だ。ヨーガのときは、最後にするポーズで、すぐ寝ていた。淡い期待は実らなかった。動かなかったので、布団に接する腰や背中が痛くなった。ときどき横を向く。
12時ころ同室の皆と外に出た。他の宿泊客も10人くらい出ていた。長そでシャツでちょっと寒いかなというくらい。
空に隙間なく星が光っていた。初めて見た。カシオペア座、北斗七星、オリオン座、北極星くらいしか知らないけど、一等星レベルで強く光る星がたくさんありすぎて、星座がわからない。天の川はわかった。
部屋に入ってもう一度横になる。まだ3時間もあるのか、とまた、しかばねのポーズをとる。体が少し冷えて楽になった。うとうとしたかもしれないが、ずっと起きていた気がする。暑かったのから眠れなかったのか、とあとで思う。

 

3時過ぎに起床。昨夜消灯で電気が切られたまま、部屋の電灯がつかない。Hさんがヘッドライトを畳に上向きにおいてくれた。うっすら周りが見える。UVケアを顔に塗ったりして身支度を整え、スマホなどをザックにしまって、玄関へ。このころには、他の客たちも起き出して、洗面台を使ったり廊下のザックに何か詰めたりしていた。

外にいると、山荘のご主人が挨拶してくれた。準備体操をして、4時に内蔵助山荘を出発する。
日の出はまだだが、うす明るい。足元を照らすためにヘッドランプを点けた。Rさんと私は頭が痛い。薬を飲まないで様子を見る。

真砂岳を巻いた道を別山方面に行く。別山南峰近くなるとけっこう急登で、トレッキングポールに頼る。大儀そうだと思われたらしく、大丈夫ですか、と後ろから声を掛けられ、シャリバテしそうだから、休みたいと言う。実際きつかった。休憩を取ってもらい、チョコとドライフルーツを口に入れる。歩き出すと、きついのだけど、一昨日昨日と登ってきて、体が慣れてきた感じがする。長距離のとき、最初はきつくて、後半に一定のペースで走る感じだ。頭痛もなくなった。

5時半くらい、別山南峰(2874)に到達する。草のない平らな広いところだ。地面が鉱物の白っぽい印象だ。石がまとまったところに祠がある。祠の裏が日陰になっていて、そこで、朝食にする。
中華丼か牛丼、冷奴、スープだ。きのう作って山専ボトルに詰めておいたお湯を鍋に入れて、バーナーで沸騰させて丼物のパックを温めるつもりが、ガス欠になった。私のジェットボイルも、きのうガス欠になっていた。水筒のお湯だけで、丼物はまあ少し温まった。

広い地の端に立つと、切れ落ちた下に劔沢キャンプ場が見え、稜線に劔沢小屋があり、その先に劔岳が見える。遠くを見回すと北アルプスの山々が見える。氷河も雪渓もある。
半円を描いて縦走していると、遠くに見える山の方向が変わってくる。劔岳は近くにあり、見えてきたらそれほど位置は変わらない。そして、特別の敬意を持つ。

6時頃、別山北峰にピストン。途中小さい雪渓がある。雪好きのリーダーは大喜びで、雪を踏んだ。私もマネする。

6時10分ころ、別山北峰頂上(2880)には先客が一人いた。

南峰に帰ってきて、写真を撮る。眼下の剱キャンプ場からラジオ体操がきこえてきた。6時半だ。団体の登山者が剱御前小舎方面から3組、間をあけてやって来た。こんにちは、とあいさつする。4時から行動しているので、もうお昼前くらいの感覚だった。

6時40分くらいに出発する。歩きながらリーダーが「終わってしまう。帰りたくない」とつぶやく。

7時10分くらい、別山乗越。剱御前小舎。10分休憩。

7時20分出発。雷鳥坂を下りながら、私はときどきスリップしそうなるが、トレッキングポールのおかげで、転ばない。

「下るのに飽きた。雪渓だったら楽なのに」リーダーがつぶやく。

9時ごろ、一番下の雷鳥平まで来て、リーダーとRさんが渡渉を試みる。水量が多くて、リーダーだけやる。靴に水が入ったそうだ。あとの人は橋を渡る。するとテント場だ。

登り返しでは、トレッキングポールに頼る。本当に持ってきてよかった。

10時、みくりが池温泉に到着。登山が終わった。ビールを飲む人がいる。私は山ぶどうスカッシュを飲む。目をつけておいたチタンのカップを買う。スマホのアプリ、ジオグラフィカにこの日のトラックが記録されていなかった。しかもバッテリーが30%くらいしか残っていない。何故だろう。

10:25出発。

11時。室堂ターミナルに着いた。ここだって山の中だけど、街の雰囲気を感じる。分担して持ってくれた荷物を持ち主に戻す。ジェットボイルが返ってきた。歩荷ありがとうございます。ビールを飲む人がいる。おみやげを買う。トイレを済ます。皆さんは立ち食いそばを食べた。出汁のいい香りが漂っていた。私はそれほど食欲がない。バテないように朝食は頑張って食べたけど、今はバスに乗るだけだ。

12時発の高速バスに乗る。乗客は、私たち5人とあとひとり。縦に席を取り、隣を荷物置きにして、悠々座った。「冷房っていいね」リーダーが言った。涼しくて快適だ。
スマホに、持ってきた2500の充電池で充電したけど、足りない。そういうことを話していたら、Hさんが聞きつけて、ご自分の充電池から充電させてくれた。感謝します。重くても、充電池は10000にするべきだった。

3か所、ドライブインやサービスエリアに寄る。25分間くらい停まるあいだに、皆さんおみやげやアイスクリームなどを買っている。わたしは牛乳にした。各店とバス会社が提携しているのだろうけどツアーみたいで楽しい。3回うとうとできて睡眠も取れた。

20時30分、池袋駅着。解散する。

帰る途中、駅のホームから隅田川花火大会の花火の部分が見えた。

 

浄土山は過去、雄山は現在、別山は未来、と言われている。別山からの眺めが特に素晴らしかった。山容に囲まれた鉱物質の白っぽい天空の地が未来、ということは、死後の世界かもしれない。そうだとしたら、行くのも良い。