3月11日(木)吉田博展

きのうは、吉田博展(東京都美術館)を見に行った。風景の木版画

色を違えて、同じ版木で朝と夕を擦り分けたのをどこかの美術館で見たことがある。光が反射する海や水に映る風景が特徴。

 旅行で描いたスケッチ帖の絵がすごくうまい。鉛筆と淡彩。版画は素直な色と卓越した線、これは海外でも人気になるのがわかる。

 風景に心を奪われてそれを描く。心をつかまれた風景を描く。心をつかまれた反応あるいは返礼として、自分に何ができるだろう、描くことだ。山や草木と水に映った山屋草木と水自体の質感とが見事。山や草木を見て、反映させる画家。
絵を見ていると、そうだよなあ、山はこうだよなあ、いいなあ、と思う。

 会場はわりと混んでいた。ずーっと一列になって進んでいく感じ。絵の前では5人くらい取り囲む。私は後ろに離れたり横から見たり。人の後ろを通って人のいないところ、いないところを探した。

 山のガイドをしているK氏にエルキャピタンの絵葉書を差し上げた。ああこれね、僕の知り合いも、二人見に行ったって、と言った。また、H氏も、行きたいって言っていた。山に登る人には、気になる展覧会なんだ。

素直な風景画、山が描かれていて、色彩も素直。ちょっと、後ろめたい感じもしないではない。描かれているものが好きだからという動機、猫好きが、猫の絵や写真が好きなのとおなじで、そんな動機で見に行っていいのか、美術本体とは違うんじゃないか、いや、展覧会へは、考えに行く感じたことを表したり考えたりしに行くものだ、というのがしみついるらしい。たまには、享受、溺れるほどでもないけど、浸かるような展覧会もいいとする。