10月4日(月)もう一つのきのう、都現代美術館に行く

きのうは、東京都現代美術館に行った。開館すぐの10時過ぎに建物に入ったのだが、横尾忠則展は、会場入り口から10メートルくらい既に列ができていて、少しずつ進んでいた。わたしは、「MOTアニュアル2021 海、リビングルーム、頭蓋骨」展と「マーク・マンダース 保管と展示」展が目当てで、まず、前者を観た。
3人の作家のどれも映像作品だった。海は潘逸舟のモチーフ、リビングルームは小杉大介の映像に多く出てきて、マヤ・ワタナベの映像には、わたしはその場面はたまたま見なかったが、頭蓋骨が映っているらしい。小杉大介〈異なる力点〉が面白かった。日常的なストーリイがあるのは文学的で、アップなしでカメラを固定させているところや、物と動作で進行するのは美術的だ。そっけない画面だけど、差し迫った事柄が感じられた。作家本人は出てなくて、他の人がやっているのも、へえ、と思った。演出が成されている。

「マーク・マンダース 保管と展示」展は、「MOTコレクション Jouenals 日々、記す」のなかで、特別展示という位置だ。6月まで都現美で開催されていた個展「マーク・マンダース――マーク・マンダースの不在」がコロナ禍で開催期間短縮になり、作品返却までの間、同展の出品作品の一部を、個展と異なる構成で展示している。
私は、金沢20世紀美術館で2020年9月19日から2021年2月28日まで開催された「ミヒャエル・ボレマンス マーク・マンダース ダブルサイエンス」展に行こうと、2月末の日付けのチケットを買っていたが、都合がつかず行かれなかった。都現美での個展はコロナ禍で休館を含む6月までの会期を見逃して、今回、ようやく特別展示を観ることができた。
たいへん気持ちのいい空間だった。粘土の大きな塊がいい。人の背丈以上ある頭部など、天井の高い空間にまとまってあるのだけど、静かだ。目を閉じているからそう思うのだろうか。顔はガンダーラの仏像を思い起こさせる。発掘されても夢見ているようだ。

柱に肉付きされ少女、机に突っ張った少女、煙突のような形もある鉄の机といす、粘土が載った椅子と机、ティーバッグ集合と鉄の棒、粘土製の寝ている狐やネズミ、など。
それぞれが起こされるのを待っている。静かに湛えた詩情がある。


昼食は、美術館内のレストランに入った。魚の香草焼きとライ麦パンを食べた。おやつにカフェで紅茶と苺とカスタードのクロワッサンを食べた。カフェで、持っていた本を少し読んだ。宣言が解除されて、飲食を楽しんでいいよね、という気分になった。