きのうは、朝一番で市の検診。待合所で椅子に座っていた。そばを女性が通って、彼女が診察券を落としたのに気がついた。
「落としましたよ」
と声をかけると、彼女が戻ってきて拾い、
「あなたが言ってくれなかったら、なくすところだった。ありがとう。自分は大丈夫と思ってもだめねぇ」
と、華やかな声で言った。
「いえいえ、でも、置き忘れたりしますよね」
実感から言ったのだが、ちょっとずれていたとあとから思う。
ここの待合所には「夜回り猫」が置いてある。前回来たときも読んだ。10分もしないうちに名前が呼ばれるので、元に戻すのだが、一話が短くて気持ちが明るくなる人情噺だから、病院の待合にちょうどいい。中の、カラーのイラストが好きだ。
