9月23日(水)二子山中央稜マルチピッチ

 きのうは、二子山に行き、中央稜をマルチピッチで登った。
 家を3時20分に出てMさんの車でKさんIさんと同乗して向かう。8時30分ごろ登山口に到着。装備を付けて、取り付きへ。中央稜マルチピッチの取り付きに誰もいない、一番に到着することができた。下山用にアプローチシューズをランニング用の小さいザックに詰め込む。ザックが小さくてキツキツなのは家でやってわかっていた。何とか詰め込む。ほかに、財布とスマホ、水のペットボトル1本とプロテインチョコレートバーとプロテインチーズバー1本ずつと手ぬぐいとヤケーヌとトイレ用のティッシュとレジ袋とがザックに入っている。
 私はMさんと組む。シングルロープ。ファーストの支点(アンカー)の取り方が不安なので、「つるべ」でなくすべてセカンドで登る。KさんとIさんはダブルロープ。おろしたてのKさんのロープが絡まりやすいということだ。Mさんは、核心という3ピッチ目も順調に登った。総じて中間支点の間隔が広く、ランナウトしているので、Mさんはカムを何度か使った。セカンドの私は、肝を冷やすことなく、ロープの引きを心強く思いながら登れた。
 私たちが完登してそれほど経たないうちに、KさんIさんが登ってきた。しばしレスト思い思いに飲食して靴を履き替え、近くの東岳山頂の三角点まで行く。記念写真を撮る。下山しようとして、歩くのが嫌な生粋クライマーのKさんが懸垂で下りれないか、と言い出し、Mさんが頑丈な支点があったと言い、どうする、ダブルロープだから長い、6ピッチも切らなくても下りられるだろう、歩くより時間がかからない、下りたら違う(シングル)ルートを登れるだろう、じゃあ、と、懸垂で下りることになった。歩いて下りると2時間。懸垂下降だと1時間と少しくらいじゃないのか、ということだ。私も下山よりは懸垂の方がまだいいと思う。私は登山に慣れてないので、歩くのが遅い。
 はじめてのルートだけど、だめそうだったら登り返しする、と、登り返しに自信のあるMさんが初めに降りる。私は2番目、Kさんが3番目、Iさんが4番目。初めてのところで、ピッチを切るボルトを探しながら懸垂下降するのは、一種の冒険だ。下りる時「行きまーす」と叫ぶ。「アムロ行きまーす」とIさん。「トモコ行きまーす」と言ってみる。3ピッチ目で、下に人がいた。私たちの下りてきたルートのすぐ隣に、難しそうなルートがあって、岩にクイックドローとロープがかかっている。あとで白壁フェイスの「あきらめるな」とわかるのだが、そこを登る人らしい。私たちの足元に固定されたロープもある。登るルートに行くところを私たちが下りてきて申し訳ないから、3番目のKさんが来たところで、その人に先に登って来てもらう。固定されたロープをちょいちょい触って登ってきた。岩と草と土の結構な急登だ。もう1ピッチ下りると、人が下にいるのがわかった。あと10メートルもない。そこが一番下だとわかる。下りているときは木々と岩の色でどこが地上かわからないのだ。下にいる人に上がってもらう。Iさんがどのくらいのグレードですか、とその人に聞いた。13くらい…、と言った。おお。私たちは称賛の声をあげる。
Mさんが懸垂下降で下りたあと、待ちきれないでKさんが固定のロープで下りる。滑って体勢を崩しながら着地。Kさんはグローブが破けたと言った。私とIさんは懸垂で地上に降りた。
 下りたところの隣の岩場、あとで本峰下部とわかるのだが、そこで有名なクライマーとそのグループが登っていた。プロの人たちだ。すこし下ってローソク岩を眺めた。足場が平らなところに行きたい、とKさん。祠エリアに行き「話がピーマン」をKさんが登る。登る気のなかったMさんも、Kさんが登るのをみてやる気になり、登る。私も行くが、テンションをかけてしまった。やっとトップアウトする。Iさんが回収がてら登る。

 天気が良く、上にいる時は日向にいると日差しが痛いほどだった。1165メートルの二子山西岳山頂から見る景色が素晴らしかった。木々に覆われたなだらかな山並みを下に見る。ちょっと怖いけど、見ていると慣れてくる。高度感とはこういうのかと思う。下の山々を見ていると、それらをかかえるような感じになってくる。
 帰りの車で、雨男のKさんは、「汚名返上ですね」とか「雨男卒業ですね」と言われた。

 午後5時、とんかつの店で私はがっつり肉丼、3人はわらじ丼を食べた。私のは醤油味のたれが多くて、のどが渇いた。寄ったコンビニで、杏仁フルーツを買って食べる。10時ごろ帰宅した。